ジョブ型雇用は日本には合わない!自営型キャリア形成を考える【「自営型」で働く時代(太田肇)】

【「自営型」で働く時代 ―ジョブ型雇用はもう古い!】の書籍レビューです。

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なんでこの本を選んだのか?

これからはジョブ型雇用だと言われて久しいけれど、なんかしっくりこない。

本当に日本にフィットしているのか漠然とした疑問を感じている。

自身のキャリア形成にどう反映していけばいいのかわからないといった不安がある。この本を読むことで一つの考え方を得られるのではないかと思って手に取りました。

この本を読んで学んだこと

日本の企業組織が既定路線として移行としようとしてる「ジョブ型」は日本特有の障壁に直面している。

  1. 転職市場の課題
    ジョブ型雇用では、職務の需要に応じて社員が頻繁に入れ替わりすることが期待される。しかし日本企業では規制が厳しいため企業は不要になった職務の人員を簡単に削減できない。また転職市場自体もまだ発達段階で流動性も高くない。
  2. 既得権の壁
    日本の多くの企業では年功序列制度が根強く残っている。したがってこの恩恵を受けている従業員にとっては、ジョブ型への移行は当然脅威であり、こうした日本特有の文化や労働組合が強い抵抗勢力となる可能性がある。
  3. 人材育成の問題
    ジョブ型雇用は社内内部での長期にわたる人材育成とは相反し、新卒の採用や育成に影響を与える。社員が転職しやすい環境では、企業が内部での育成に投資するインセンティブが減少する。

ジョブ型そのものが実は古い概念であり、VUCAの時代と呼ばれる今日にそぐわなくなっている。

  • 外部環境の変化に合わせ個々の職務内容を見直すというのは非効率である。また会社のミッション変更に伴うフレキシブルな人材の入れ替えも日本の厳しい解雇規制が許さない。
  • ジョブ型では失敗のリスクを冒したがらず、自分の職務外との繋がりが薄くなるためイノベーションも起きにくい

筆者は日本の組織が「自営型」の働き方へと進むべきであると指摘する。

  • 「自営型」とは特定の製品開発やプロジェクト運営などのまとまった仕事を一人で担当するスタイルとしている。
  • この新しい提案の魅力は、融通が効き、自律的に幅広いプロセスを担当できる日本人の体質が固定的な職務に縛られるジョブ型よりも自営型に適しているという点にある。
  • また、IT化の進展により、組織のあり方が従来の囲い込み型から、個々の能力を発揮できるオープンでフラットな「インフラ型」へと変化していることも、日本組織の未来に対する新たなカタチを示唆している。

”わたし”はどうあるべきか

  • ジョブ型のメリットとして、個人として標準化された仕事の追求することでどこでも通用する能力を身につけられることが挙げられる。一方でこれらは代わりが効く存在になるということを意味する。進化していくIT・AIに淘汰されない能力は何かを自問し続けていく
  • 社内においては主体的に交渉・調整しつつ社外においては直接市場や顧客と接していく自営型スタイルにおいては対人能力が極めて重要となってくる。
  • 将来的には自営型社員として雇用される可能性を考慮し、ITを含めた多様なスキルや社外での学びを積極的に取り入れる
  • 企業のマネジメント側の視点として、いかに社員の自律的で自営型的な働き方を促し結果的にエンゲージメントを高めていく仕組み(オープンでフラットなインフラとしての会社)を考えていく必要がある。

個人だけでなく、人事担当者や経営トップに読んでほしい本です。

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